中山五輪男さん

中山五輪男さん
富士通株式会社 常務理事 首席エバンジェリスト

なかやま いわお

1964年5月、長野県伊那市生まれ。法政大学工学部電気電子工学科卒業。
1987年日本DEC等を経て2001年ソフトバンクコマース(現在のソフトバンクグループ)に入社。iPhoneおよびiPadの推進業務などを担当。また、パーソナルロボットPepperや、米国1BMが開発した人工知能システムWatsonにも携わり、年間300回に及ぶ全国各地での講演活動、国内30以上の大学でも特別講師として活躍。
2017年8月、富士通株式会社常務理事首席エバンジェリストに就任。

先端技術のエバンジェリスト

AI(人工知能)、ロボッ卜、IoT(モノのインターネット)などの先端技術は近年大きく伸長し、私たちが暮らすこの社会を劇的に変えています。その中で、富士通の中山さんは首席エバンジェリス卜(伝道者)という立場で世界をまたにかけ、熱く、精力的に先端技術の魅力を紹介し続けています。年間300回もの講演をこなす年もあるという、斯界に名を馳せる中山さんを訪ね、学生時代の思い出や、未来社会に対する夢と希望についてお話を伺いました。

エバンジェリストという仕事を通して、思うこと

執筆活動やTV出演と、実に多方面で活躍されているようですが、今、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

富士通という会社で、エバンジェリストという役職に就いています。エバンジェリストというのは英語で「伝道者」を意味します。つまり、私のミッションは、とかく一般の方にとってはとつつきにくい先端技術、例えば、A1 (人工知能)、ロボット、1oT(モノのインターネット)などがどのような仕組みで、また具体的にどのような形で私たちの社会に役に立つのかとか、社会自体をどのように劇的に変えていくのかということをわかりやすくお伝えする、ということなのです。

わかりやすさと正確さとは相両立しないのではないかなと悩みますが、どのような工夫をされていますか?

まず、出来るだけ専門用語を使わないことです。私の場合は学生に話すことも多いので、やや語弊がありますが、人生経験の乏しい彼らでも理解しやすいような表現で資料を作成し、説明できるように準備しています。なお、彼らが普段考えていることを知るために、テレビの深夜番組をよく観るように心がけています。

人間とビジネスの再定義時代に

先端技術は、私たちの社会とどう関係していくのでしょうか。

将来的にA1 (人工知能)は、人間の100倍の知能(IQではl万)にも達するだろうといわれています。現在であっても、身近なところでは、既に日常会話以上の通訳業務をこなす装置が完成し、実用化されているのです。例えば、お医者さんと外国人との会話は、こういう装置を介して可能なのです。また、来る2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、この装置はロボットに姿を変えて、結構活躍しているのではないでしょうか。

そうなると、人間の出る幕がなくなり、「失業してしまう」のではないかと・・・。

そうですね。確かに人間がこなしてきた作業の一定部分を、先端技術が代替することになるでしょう。ただ、そこで大事なのは、「人間とビジネスが再定義される」ということを、私たち自身がしっかりと認識することなのです。その上で、新たな職業を見つけられるような柔軟な対応ができるかどうか、世の中の変化にきちんと向き合って対応するチカラがあるかどうかが試されてくるのではないかと確信します。心配ばかりしても仕方がありません。例えば、今をときめくホンダやフォードなどの自動車メーカーの経営陣の中には、将来はクルマづくりの製造業の会社から自動車全般に関する様々な情報を提供するサービス企業へと変わる可能性も十分にあるとコメントしている方もおられるのです。いずれ彼らはクラウドを牛耳って、必要なデータをクルマに送信するといった、「サービス業の会社」になるかもしれないのです。解はこういうところにあるといっても過言ではありません。

勉強とアルバイトに明け暮れて

法政大学ヘ進学することとなったきっかけは?

母校・長野県立伊那北高等学校の先生に勧められたのが、きっかけです。ちょうど法政からの推薦枠がl名分あり応募し、合格したということです。競争率は高かったと記憶しています。

学生時代はどのように過ごされていましたか?

クラブ活動には縁がなく、もっぱら勉強とアルバイト漬けの毎日でした。大学では、小林尚登教授の指導を受け、主として制御工学を勉強していました。実は、子どもの頃からコンビュータやロボットが大好きで、科学雑誌を読みふけり、トランジスタを基板に組み込んだキットを作っていたほどなのです。また、毎週土曜日に友人と百貨店に出向き、展示してあるパソコンを操作してプログラミングの勉強をしたという思い出もあります。それが功を奏したというわけではありませんが、その後、L1SP(リスプ)というプログラミング言語を独学で身につけ、大いにスキルアップしました。ところで、今思い起こせば本当に偶然なのですが、学生時代に初めて買ったパソコンは、なんと富士通製(FM7)だったのです(笑)。

座右の銘は何ですか。

「人生苦あれば楽あり 楽あれば苦あり」
これは、なぜか子供の頃から肝に命じてきた言葉です。長い人生、何があっても落ち込まず、かといって好調だなというときこそ油断しないことが大事だということです。始終唱えていれば、バランスが取れた人生を送れると思いますよ。 出身高校である東京都立芝商業高校の同級生に影響されたところが大です。今思うと、これがわが人生最大の「岐路」でしたね。結果として大正解でした。

人生の岐路だなと思ったことは何ですか?

三つあります。一つは、大学に法政を選んだこと。これはもちろん正解でした。次に就職先選びでしょうか。実は、最初に内定をいただいた会社の名前を今は亡き母親に伝えた時に、「別の会社が良いのでは」と言われ、結局、日本DECという外資系メーカーに変更したことです。あのー言がなければ、今の私はないといえます。
三つ目は、ソフトバンクが2008年にiPhoneの販売権を獲得した際に、そのプロジェクトのメンバーとして関われたことです。わずか3人のうちのl人に選ばれ、その時の仕事振りが評価され、「エバンジェリスト第一号」と称されたという訳です。

講演や大学講師の激務に耐えるだけの健康を保つ秘訣はありますか?

強いていえば、身体を動かすこと。私の場合は、もっぱらゴルフです。休みがあれば、何を差し置いても一目散に出かけます。あとはお酒。そしてなんでも食べることです。好き嫌いはありません。

望まれる 真のエリート教育

校友会や大学に対する希望や期待がありましたら。

校友会については、正直のところ、これまでのところは、定期的に送られてくる校友会報を読むこと以外に、あまり接点はありませんでした。ただ、希望を述べるとすれば、今後は、例えば、セミナーのような場を設け、校友同士で知見を深め合える機会を増やすのも面白いかもしれませんね。 大学に対しては、これまで以上に理系人材を大切にして欲しいとの思いがあります。今のままでは、中国やインドの後塵を拝してしまいます。そうならないためにも、小中学主に対して電気や1Tに興味をもってもらうよう工夫できるような人材とか、理科系の学問がいかに面白いかを伝えることができるような人材を、これまで以上に育成して欲しいのです。例えば飛び級などを柔軟に採用するなどして、真の意味のエリート教育に注力すべきだと思います。

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